工学部

授業科目名:
高分子熱物理学II
(英語名): Thermal Physics of Polymer II
対象学年:
3年Aコース
開講学期:
前期
開講形態:
講義
担当教官: 池田 進(IKEDA Susumu)
単位数:
対象学科:物質工学科 区分:専門科目・選択必修 510075

授業概要

物質の熱物理学的性質を、その物質を原子、分子の集合として理解する事は、機能を持つ材料の設計開発にとって、欠くことのできない事である。高分子材料の物性を理解し、それを適切に取り扱うには、エントロピー概念を自由に使いこなせる必要がある。この講義の目的は、学生諸君がエントロピーの概念を理解することと、高分子を中心とした物性論の初歩を学ぶことである。
内容: まず、孤立系におけるエントロピーの分子論的、統計力学的定義とその意味を学習する。次に実際に材料の熱物理学的理解に必要な、熱浴中の系のエントロピー概念とBoltzmann統計について学習する。さらにそれらを用いて、格子欠陥、常磁性、相平衡、相図等の問題を取り扱う。講義の後半では、高分子溶液論、ゴム弾性論などについて、その初歩を学び、機能材料研究、高分子材料研究への導入を行う。 相平衡、ゴム弾性、溶液論の初歩などに関して、統計力学的に理解しているかどうかで、達成度をテストする。

授業計画

第1週 熱力学第一法則、第二法則
第2週 統計的重率とエントロピー
第3週 孤立系の平衡 
第4週 格子欠陥の取り扱い 
第5週 熱浴中の系の平衡とBoltzmann因子 
第6週 理想気体の誘電率、常磁性の統計力学
第7週 熱力学第二法則の表現 
第8週 各種環境におけるClausiusの不等式とGibbsの自由エネルギー
第9週 相平衡と相図 
第10週 Clausius-Clapeyronの式
第11週 ゴム弾性の熱力学
第12ー15週 高分子鎖の統計

成績評価の方法

筆記試験、レポート、出席などを総合して評価する。

テキスト

池田 進、高分子熱物理学、未完

参考書

F.Mandl著、和田他訳、統計物理学I、II、共立出版
長谷川正木・西敏夫、高分子基礎科学、昭晃堂

授業の目標・ねらい

自然界に起こるいろいろな現象を整理するのが熱力学で、その根底にある原子分子との関係を知る為には統計力学が必要なことを理解し、それに興味をもたせること。

学生へのメッセージ等

高分子を中心にいろいろな自然現象、それを利用した科学技術の進歩に興味を持ってください。自然とそれに対するみなさんの理解の接点は多分今まではエネルギー概念だったのではないですか?それにエントロピーを加えましょう。

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