工学部

授業科目名:
高分子結晶物理学
(英語名): Crystallography and Crystal Physics in Polymers
対象学年:
3年Aコース
開講学期:
後期
開講形態:
講義
担当教官: 田実 佳郎(TAJITSU Yoshiro)
単位数:
対象学科:物質工学科 区分:専門科目・選択必修 510090

授業概要

目的: 高分子固体は機能性材料として,応用が期待されて久しいが,実用化を実現 した例は甚だ少数である.高い機能性をもつ高分子を得るためには結晶の示す物理的 性質と構造との関連を正確に理解する必要がある.一方,低分子結晶の研究分野にお いては,古くから,結晶のもつ巨視的対称性に注目し,この対称性が結晶の示す物理 的性質にどのように反映されるかが調べられてきた.これは,いわゆる古典結晶物理 学として学問的に確立され,理工学の広い分野で利用されている.ここでは,古典結 晶物理学を利用して,高分子結晶の理解を深めることを目的とする.

内容: はじめに古典結晶物理学における結晶学を中心に紹介する.特に結晶の巨 視的な対称性を記述する結晶点群,空間群などを群論を基に解説する.ついで,結晶 の示す物理的性質を記述する物理量を極性テンソルと軸性テンソルに階位を含めて分 類し,結晶の持つ対称要素が物理量に如何に反映するかを詳細に解説する.つづいて ,ここで解説した古典結晶物理学を,高分子結晶に適用し,その有用性を示す.また 古典結晶光学の利用についても,実験例を含めて解説する.

授業計画

授業計画  ( )は授業週回数を示す
1. 結晶の特徴 -- 定面角の法則(1)
2. 結晶点群と結晶構造 -- 対象要素と回転対称要素(2)
3. 空間群と対称性 -- 数学における群構造(1)
4. 結晶の物理的性質とテンソル
    --物理量と物理量を結ぶ物質定数と極性テンソル(1) 
5. 結晶光学 -- 軸性テンソルとその階位(1)
6. 高分子結晶の構造解析 -- X線構造解析の原理と手法(2)
7. 高分子結晶の構造と結晶学 -- 高分子の螺線構造(2)
8. 高分子結晶の高次構造 -- 球晶,ラメラ構造(1)
9. 高分子結晶の対称性と物理的性質 (I) -- 電磁気的な性質(2)
10. 高分子結晶の対称性と物理的性質 (II) -- 光学的な性質(2)

成績評価の方法

筆記試験および演習、レポート等の結果を総合し成績を決定する。

テキスト

   

参考書

定永両一   結晶学序説     岩波書店
斉藤信彦   高分子物理学    裳華房

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