授業概要 |
[目的]:有機化学実験・物理化学実験・高分子化学実験の考え方や基本的実験操作技術
を習得するとともに、講義を通して学んだ知識を実際の体験により確認し、その理解を
深めることを目的とする。
[内容]:はじめに分析化学実験として、中和滴定・キレート滴定・酸化還元滴定を
行い
滴定操作、原理を学ぶ。有機化学実験は、ピラゾリンの合成を通し有機化学操作を習得
する。物理化学実験では、液体の屈折率や相互溶解度を調べ、液体の基礎特性を理解す
る。高分子合成では、乳化重合・スラリー重合・パール重合・交互共重合・重縮合・開
環重合の各反応を行い、得られたポリマーの分子量測定などの特性評価を行う一方、コ
ンピューターを用いたモノマーの軌道計算から、その性質をみる。また、高分子反応と
して、得られたポリマーのホルマール化や、感光性樹脂の感光反応を検討する。高分子
の構造と物性では、X線回折を応用した高分子構造の評価、結晶化速度測定から高分子
結晶化のメカニズムの考察、示差走査熱量計による高分子材料の熱的特性、相転移現象
の評価、回転粘度計による高分子溶液の静的レオロジー特性の理解、さらには、高分子
の広がり状態、および高分子融液や固体の粘弾性の測定を行う。
|
授業計画 |
4月〜12月末まで、週2回・1回3時間の実験を行う。実験テーマは、以下に示す
通り。なお、実施の際には前もってガイダンスを行い、学生を小グループにわける。
[分析化学実験]中和滴定・キレート滴定・ヨウ素滴定
[物理化学実験]液体の屈折率・液体の相互溶解度
[有機化学実験]安息香酸のメチルエステル化・安息香酸メチルの蒸留精製・トリフェ
ニルピラゾリンの合成
[高分子合成及び反応]酢酸ビニルのラジカル重合とそのケン化反応・PVAの不均一
ホルマール化反応及びビニロンスポンジの合成・メタクリル酸メチルのバルク重合・ア
クリロニトリルのスラリー重合・スチレンのパール重合・スチレンと無水マレイン酸の
交互共重合と分子量測定・架橋ポリアクリル酸ナトリウムの合成・ポリアミドの合成・
ポリイミドの合成・感光性樹脂の合成
[高分子の構造と物性]鎖状高分子モデルの統計的性質・回転粘度計による溶液粘度の
測定・高分子融液の粘弾性・高分子固体の動的粘弾性・高分子X線回折・高分子の熱解
析・結晶化速度定数
|
成績評価の方法 |
上記の実験をすべて行い、かつレポートを提出した者に対して、通年で6単位を認定
する。
|
テキスト |
高分子化学教官、高分子化学実験、自作テキスト (1996)
|
参考書 |
畑一夫・渡辺健一、新版 基礎有機化学実験 その操作と心得、丸善、1545円 (1968)
|