授業概要 |
化学における理論は、物質の構造、物性および反応を原子、分子のレベルから理解
し記述しようとするもので、量子力学がその基盤の一つになっている。
物理化学IIIでは、量子力学を簡単に整理し、次いで、原子の構造、分子の結合と
構造を考える。この部分は、量子化学の基礎で、分子を理するためには欠かすことの
できない所である。
量子化学は、難しいと言われることがある。しかし、数式等に深入りせず、その意
味する所を理解しようとすると、ミクロの世界(電子、原子、分子の世界)のことが
よくわかるようになる。敬遠せずに、考え方に慣れ親しんでほしい。
後半では、量子化学と関連させながら光化学を扱う。この部分は、光エネルギーを
物質に吸収させ、これを役に立つ形に変換して利用する、ことを念頭に置いた部分で
ある。
|
授業計画 |
概ね次のような順番で15週行う。
(量子化学の基礎)
1 物質の波動性
2 シュレーディンガーの波動方程式
3 水素原子(類似)の電子波動関数
4 原子内の電子配置と周期律
5 電子軌道の混成
6 分子軌道法
7 フロンティァ軌道と結合
8 結合の極性と双極子モーメント
9 分子構造と電子スペクル
(光化学)
10 光吸収と励起状態
11 蛍光、燐光、消光
12 スピン多重度と三重項状態
13 励起体の生成と他分子へのエネルギー移動
14 光化学反応
15 光エネルギーの化学エネルギーへの変換
|
成績評価の方法 |
筆記試験および演習、レポートの結果を総合し成績を決定する。
|
テキスト |
下記参考書を用いるが、購入は義務づけない。
|
参考書 |
坪村宏、 新物理化学(上)、 化学同人、 4200円(1995)
坪村宏、 新物理化学(下)、 化学同人、 4500円(1995)
|
履修にあたっての留意点 |
大事な所は、ノートをとって十分に復習してほしい。
|
その他 |
物理化学I、物理化学IIで用いたテキスト”現代物理化学序説”は捨てないでおく
こと。
|