工学部

授業科目名:
物質移動
(英語名): Mass Tansfer
対象学年:
3年Aコース
開講学期:
前期
開講形態:
講義
担当教官: 都田 昌之(TODA Masayuki)
単位数:
対象学科: 物質工学科 区分: 専門科目・ 選択必修 510675

授業概要

 物質移動に初めて出会った人は、これはいったい何だろう!、と思うに相違ないと 思います。物質移動という言葉から連想されることは、何らかの力によって物理学的 に定義される物(一定の質量を持つ対象)が移動する現象であろ、と想像するのでは ないでしょうか。それも言葉の意味において間違ってはいません。しかし、化学工学 が対象とする物質は、素粒子や原子および分子の集合体である単体や化合物そのもの です。これらの物質がその濃度差(正しくは活量差)に基づいて移動する現象を物質 移動というのです。この物質移動は、主に流体の境膜(流れに置かれた物体の表面に は乱流境界 層が生ずるが、この境界層内部で最も表面に近い極めて薄い層流の部分 )を通す拡散現象なのです。本講義では、目的とする化学物質を分離する場合に必要 な基礎知識である異相間の物質移動について、その現象と理論を理解することです。

授業計画

 第1--3週  拡散と物質移動
        拡散、物質移動、物質移動係数、相平衡
 第4--6週  物質移動の基礎式
        流れの機構と物質移動、基礎式の導出、無次元数とその物理的意義、
        物質移動に関するモデル的考察
 第7--9週  層流場の物質移動
        物質移動の境界条件とその特異性、平板からの物質移動、円管内お よび固体
        球表面からの物質移動、気泡および液滴からの物質移動
 第10--12週 乱流場の物質移動
        乱流、乱流移動現象の工学的取扱い、円管内乱流速度分布と摩擦係 数、乱流場
        に置かれた平板からの物質移動、運動量移動と物質移動との相似性 、アナロジ
        の適用限界
 第13--15週 反応を伴う物質移動および熱と物質の同時移動
        反応の物質移動の複合現象、瞬間反応を伴うガス吸収、非瞬間反応 を伴うガス
        吸収、液膜による反応吸収、熱と物質の同時移動現象、純液の蒸発 と湿球係数

成績評価の方法

筆記試験および演習、レポートの結果を総合し成績を決定する。

テキスト

浅野康一、物質移動論、共立出版、1,500円

参考書

大矢晴彦・諸岡成治、工学部学生のための移動速度論、技報堂、3,700円

履修にあたっての留意点

常微分や偏微分の概念などもう一度見直すこと。また、予習および復習を忘れずに。

授業の目標・ねらい

異相界面を通す物質移動現象に関する物質収支、流れや化学反応の影響および熱と物 質の同時移
動などに関んする理解と修得です。

学生へのメッセージ等

日常生活の中にもこの科目を理解するのに役立つ現象もあります。楽しく学んで下さい。

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