授業概要 |
高分子流体や固体は、水や金属などと異なり、粘性と弾性の両方の性質を同時に有
しており複雑
な挙動を示すために、従来の流体力学や弾性学などでは説明できない場合が多く、新
たな学問体系
であ る「レオロジー」に基づく理解が必要である。 本講義では、レオロジーの概
念と基礎的内容、
静的および動的粘弾性理論の基礎、粘弾特性の測定 方法とその基本原理、高分子物
質の特徴的なレ
オロジー特性と分子構造との関係、成形加工などの高 分子工業との関わり、などに
ついて解説する。
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授業計画 |
第1週 レオロジーとは?:歴史的背景、学問的および工業的有用性
第2週 理想的粘性流動、塑性流動、弾性変形:Newton流動、Bingham流動、降伏応力
伸長流動、Trouton則、Hook固体
第3週 ゴム弾性理論:エネルギー弾性とエントロピー弾性
第4週 非ニュートン流動:見かけ粘度、せん断-、時間-依存性、べき法則、流動指数
第5週 粘度の温度依存性:Andrade式、Eyring理論、流動の活性化エネルギー
第6週 粘度の分子量依存性:溶液粘度、融液粘度、Staudinger粘度式、3.4乗則、臨
界分子量
第7-8週 静的粘弾性理論:Maxwellモデル、Voigtモデル、応力緩和、クリープ、緩
和時間
遅延時間、緩和弾性率、クリープコンプライアンス、多要素モデル、一般化
モデル
第9-10週 動的粘弾性理論:ベクトル記号法、複素弾性率、複素粘性率、複素コンプ
ライアンス
貯蔵弾性率、損失弾性率、動的粘度、力学的損失正接、温度分散と周波数
分散
第11週 粘弾性特性の測定法と基本原理(静的):毛管押出レオメータ、Poiseuille
の法則
末端補正、落球粘度計、Stokesの法則、平行板プラストメータ、円錐-円盤
レオメータ
第12週 粘弾性特性の測定法と基本原理(動的):振動論の基礎、自由減衰振動法、
強制振動法
第13週 時間換算則:時間-温度重ね合せ則、合成曲線、移動係数、WLF式
第14週 緩和スペクトル:定義、1次近似と2次近似法、くさび型分布と箱型分布、最
大緩和時間
第15週 工業レオロジー:成形加工における高速粘弾流動特性、不安定流動特性、粘
性発熱
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成績評価の方法 |
筆記試験および演習、レポートの結果と出席状況を総合し成績を決定する。
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テキスト |
プリント配布
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参考書 |
(著者)村上謙吉 (書名)レオロジー基礎論 (出版社)産業図書 (価格)3,
605(1991)
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履修にあたっての留意点 |
教科書を用いずに、プリント資料と詳細な板書により講義を進めるから、毎時間
出席してしっか
りノートを取ること。さらにその都度、参考書を調べて関連事項の補足を加えな
がらノートの内
容を充 実していき、自分独自の有用な参考書に仕上げること。
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