工学部

授業科目名:
制御工学
(英語名): Control Engineering
対象学年:
2年Aコース
開講学期:
後期
開講形態:
講義及び演習
担当教官: 大久保 重範(OKUBO Shigenori)
中野 政身(NAKANO Masami)
単位数:
対象学科:機械システム工学科 区分:専門科目・選択 520060

授業概要

 s領域での制御の基本概念を把握することに主眼をおく。ラプラス変換は制御系を 表現、解析、設計するうえで基礎になる手段であるから、比較的詳細に扱う。制御系 の表現である伝達関数の部分では、機械系、電気系の動的方程式からブロック線図に 変換する方法を示し、制御工学が広く工学分野で応用されることを認識させる。制御 系の特性解析の手段である周波数応答法では、ベクトル線図、ナイキスト線図、ボー ド線図の意味を把握し、演習で使い方を習得する。制御系の安定解析では、ラウス・ フルヴィツの安定判別法、ナイキストの安定判別法を扱い、その重要性を理解させる 。根軌跡法では、ゲインと特性根の変化を関係を把握し、その手法を習得する。制御 系の性能解析では、定常偏差の意味、ゲイン余裕、位相余裕および安定度を扱う。制 御系の設計では、PID制御の意味を理解させ、その効果を演習で習得させる。状態空 間法では、s領域と状態方程式の関係を示し、可制御・可観測、正準形を理解し、極 配置法に応用する。

授業計画

第1週 ラプラス変換の基礎、代表的関数のラプラス変換  
第2週 ラプラス逆変換、展開定理による時間領域への変換、微分方程式の解法 
第3週 伝達関数、基礎要素の伝達関数、ブロック線図、ブロック線図の等価変換 
第4週 機械系、電気系、液面系の伝達関数、線形近似による複雑な系の伝達関数 
第5週 周波数応答法、周波数伝達関数、ベクトル線図、ナイキスト線図 
第6週 ボード線図、縦続接続、ゲイン特性の折れ線近似、ニコルス線図 
第7週 安定判別、特性方程式、ラウス・フルヴィツの安定判別法 
第8週 安定条件を満たすパラメータの範囲、ナイキストの安定判別法 
第9週 根軌跡法、根軌跡の性質、漸近線、分岐点の求め方、虚軸との交点 
第10週 制御系の性質および特性評価、定常偏差、過渡特性、周波数応答特性 
第11週 ゲイン余裕、位相余裕、ボード線図からの安定余裕の求め方、性能指数、代 表根 
第12週 制御系の設計、PID制御系、ステップ応答法、限界感度法、安定解析 
第13週 位相遅れ補償、位相進み補償、フィードバック補償 
第14週 状態空間法、状態方程式と伝達関数、可制御、可観測 
第15週 可制御正準形、可観測正準形、極配置法、状態フィードバック 

成績評価の方法

筆記試験および演習、レポートの結果を総合し成績を決定する。

テキスト

大久保重範、制御理論、自作テキスト(大久保) 
河合素直、制御工学 ー基礎と演習ー、昭晃堂、3,348円(1995)(中野)

参考書

須田信英、制御工学、コロナ社、2,781円(1995)
増淵正美、自動制御基礎理論、コロナ社、3,811(1995)

履修にあたっての留意点

制御工学は、機械系、電気系、化学系をはじめ、広く工学全般にわたって使われる。 工学系の数学モデルを構成し、伝達関数を求めることは、制御工学の基礎である。制 御工学では、微分方程式論、複素関数論、行列代数がよく使われるため、これらの分 野の基礎的知識を習得しておくことが大切である。

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