工学部

授業科目名:
計算機制御
(英語名): Computer Control
対象学年:
3年Aコース
開講学期:
前期
開講形態:
講義及び演習
担当教官: 中野 政身(NAKANO Masami)
単位数:
対象学科:機械システム工学科 区分:専門科目・選択 520155

授業概要

 近年のマイクロコンピュータの急速な発達により、多くの制御応用分野で ディジタル計算機を用いた制御が実用化され正確かつ複雑な制御が可能に なってきている。
 本講義では、このようなディジタル計算機を用いた制御の基礎となる ディジタル制御システムの解析と設計の手法について取り扱う。まず、 コンピュータの発達と相まって計算機を用いた制御が主流になってきた 歴史的背景を述べ、計算機制御の有用性を認識させる。コンピュータを用いた システム制御は多岐にわたるため用途、機能別に分類し、その利用法と ハードウェア及びソフトウェアの基本的な構成を概括する。次いで、 アナログ制御系とディジタル制御系の違いを時間及び量の離散化の面から対比し、 ディジタル制御系を解析・設計する際の理論的な背景を明確にする。 状態方程式を基礎にした解析設計を行うため、連続時間系の状態空間法による 取り扱い方を詳述し、ディジタル制御系で用いられる差分状態方程式を導き、 その計算法について詳しく扱う。また、z変換による解析法についても取り扱う。 ディジタル制御系の解析では、離散時間系の安定性と安定判別法について述べた後、 過渡応答や定常応答特性について言及する。最後に、状態フィードバック制御に基 づいた極配置法によるディジタルコントローラのパラメータ設計法を取り扱う。

授業計画

第1--2週 計算機制御の概要:計算機制御の機能別分類、基本構成、 ハードウェア構成、ソフトウェア
第3--4週 ディジタル制御とは?:ディジタル制御系とアナログ制御系、 ディジタル制御系の機能と理論
    的背景
第5--7週 連続時間系の状態空間法表示:状態方程式モデルと伝達関数、 可制御・可観測、可制御正準
    形、状態フィードバック制御、極配置法
第8--10週 ディジタル制御系の表現:サンプリング定理、差分状態方程式、 行列指数関数、係数行列の
    計算法、z変換、パルス伝達関数
第11--12週 ディジタル制御系の解析:固有値、離散時間系の安定性と 安定判別、過渡応答、定常特性
第13--15週 ディジタルコントローラの設計:状態フィードバック制御、 極配置によるパラメータ設計、
    オブザーバの設計 

成績評価の方法

毎回実施する小テスト、定期試験、およびレポートの結果を総合評価して 成績を決定する。

テキスト

特に指定しないので、下記の参考書を参考にすること。

参考書

美多・原・近藤、基礎ディジタル制御、コロナ社、2,472円(1990)
森下・上野、ディジタル制御工学、オーム社、2,900円(1987)
増淵正美、自動制御基礎理論、コロナ社、3,811円(1990)

履修にあたっての留意点

 ラプラス変換、伝達関数、安定性、及びフィードバック制御などの制御に関 する基本的な知識を必要とするので、「制御工学」を履修していることが望ましい。 また、状態空間法では行列演算を多用するので、数学的手法として線形代数学の 基礎を理解しておくことが望まれる。

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