授業概要 |
設計の基本を含む簡単な機械として、油や水などの循環、輸送に広く用いられる
「歯車ポンプ」を題材に取り上げ、スケッチ作業と設計・製図を行う。
摩耗・破損した部品を作り換えるときや、ある機械と同等品を作るときなどに、
スケッチによって製作図面を作成する。そのスケッチ作業を習得することと各部品
の役割と機能を理解する目的から、実際の歯車ポンプの各部品のスケッチ作業を
10グループに分かれて行う。各グループ毎にそれぞれ異なった歯車ポンプを
分解し、プリント法や形どり法による部品形状の写し取りや各種計測器具を用
いた部品寸法の計測等を介して各種部品の形状や寸法を計測する。各部品の形状
を三角法を用いてフリーハンドで描き、これに寸法や加工方法などを記入する。
これらのスケッチ作業を通じて、歯車ポンプの各部品相互の関連や機能等に
ついて理解を深める。
10グループ毎に各自与えられた仕様のもとで歯車ポンプの設計製図を行う。
設計に先立ち、歯車ポンプの設計法に関して講義を受け、各部品の設計の考え方
や設計手順などについて学習した後、仕様を満足するようにポンプ歯車や各部品
の主要寸法、材質等を決定する。その設計過程や結果を設計書としてまとめると
同時に、決定した主要寸法に基づいて概略の組立図を構想図として作成する。
この基本構想図に基づいて、各部品の製図と組立図の製図を行い、
一連の設計・製図の過程を学習する。
|
授業計画 |
第1週 履修上の一般的説明、「歯車ポンプ」のスケッチに関する講義
第2--5週 「歯車ポンプ」のスケッチ
第6週 「歯車ポンプ」の設計製図に関する講義
第7--8週 「歯車ポンプ」の設計(設計書及び構想図の作成)
第9--15週 「歯車ポンプ」の部品図及び組立図の製図
|
成績評価の方法 |
提出されたスケッチ図、設計書及び構想図、「歯車ポンプ」の部品図及び
組立図、出席状況を総合して成績を評価する。
|
テキスト |
津村・大西、JISにもとづく標準製図法、理工学社、950円(1986)
中野政身、歯車ポンプの設計[自作テキスト] (中野・南後)
工業教育図書研究会編、歯車ポンプの設計(堀切川)、綜文館、400円(1982)
|
参考書 |
JIS B 8352「油圧用歯車ポンプ」、日本規格協会
|
履修にあたっての留意点 |
第1週目に各教官毎に履修上の留意点が説明されるので、それに従って受講
すること。
JIS規格に基づいて機械製作図を作成する基本的な能力を必要とするため、
機械製図に関する知識・技能の習得に主眼を置いている「基礎製図」を履修してい
ることが望ましい。また、機械の設計製図という性格からして、機械を構成する
個々の部品の機械設計学の知識はもちろんのこと、機械工作、工業材料、生産管理
等に関する知識も必要とされる。
|