授業概要 |
近年、コンピュータシミュレーション技術が急速に発達し、機械工学のあらゆる
分野に応用されている。本講義は機械工学の最も重要な分野の1つである熱流体
力学を取り上げ、それに対するシミュレーションの手法の基礎を解説する。
講義の前半は今まで勉強してきた熱流体力学の基礎をコンピュータシミュレーション
に適する形にまとめあげる。次元解析、質量、運動量、エネルギーの保存則とそ
れらの流体微小要素への適用、連続の式、運動方程式、熱エネルギー保存の方程式の導
出と無次元化を議論する。
講義の後半は熱流体力学の基礎方程式から抽出されるモデル方程式を用いて、数値
シミュレーション手法の基礎を演習を交えながら学ぶ。偏微分方程式の分類と初期条
件・境界条件、差分法の基礎、ポアソン方程式、熱伝導方程式、移流拡散方程式の
差分近似、連立一次方程式の反復解法、FORTRANプログラミング、計算結果の図形
出力などの内容を扱う。
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授業計画 |
第1週 コンピュータの熱流体力学問題への応用
第2-3週 熱流体力学の物理量、基本単位と基本次元数、次元解析と応用
第4週 ラグランジュの方法とオイラーの方法、流体粒子の加速度、
ニュートンの粘性則、フーリエの法則、質量、運動量、エネルギーの保存則
第5週 各保存則の流体微小要素への適用、連続の式、運動方程式、熱
エネルギー保存の方程式の導出、非圧縮の条件
第6週 基礎方程式の無次元化、基礎方程式から抽出されるモデル方程式
第7週 2階偏微分方程式の分類、ポアソン方程式と境界条件、熱伝導方程式と
初期条件・境界条件、移流方程式と初期条件・境界条件
第8-9週 差分法の概念、図式的な解釈、1階微分に対する前進、中心、後退差分、
2階微分に対する中心差分、テーラ展開と差分近似の精度、打切り誤差
第10週 ポアソン方程式の差分近似、連立一次方程式の反復解法
第11-12週 ポアソン方程式を解くためのFORTRANプログラム、計算結果の
図形出力、パソコンによる演習
第13週 熱伝導方程式の(陽的な)差分解法とプログラム、パソコンによる演習
第14週 差分法の適合性、収束性と安定性、陽的な方法と陰的な方法、熱伝導
方程式の陰解法
第15週 移流方程式の差分解法、風上差分法、CFL条件、移流拡散方程式の差分解法
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成績評価の方法 |
筆記試験および演習、レポートの結果を総合し成績を決定する。
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テキスト |
なし(講師作成のプリントを配布する)
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参考書 |
登坂宣好・大西和栄、偏微分方程式の数値シミュレーション、
東京大学出版会、(1991).
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履修にあたっての留意点 |
熱と流れの力学、工学解析、FORTRANプログラミングの基礎的知識を習得
しておく事が望ましい。
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