授業概要 |
近年、医学と工学が融合した学際領域の新しい学問である医工学、システム
生理学、生体工学などが盛んになってきている。本講義は、数学、電子回路の基礎
的素養がある学生に、生物の様々な生理現象を工学システムの立場から理解させること
を目的としている。
講義は、W.B.Blesser著(池田謙一訳)「医学・生物学におけるシステム
理論」上巻(東大出版会)を基礎として担当教官が作成したテキスト
にもとずいて行われる。内容は生理現象を工学システムの立場から理解するために、
呼吸、循環、筋収縮などの力学系、体温調節などのホメオスタシス系を例にとり、
生体システムにおける抵抗、蓄積の性質、フイードバック制御などの概念を明らか
にし、アナログモデル、数学モデル、シミュレーションの基礎について解説する。
|
授業計画 |
第1週
序論、生体生理システムのモデルとアナログ
第2週
簡単な生体生理システムの物理特性
第3週
分布定数システムと集中定数システム、線形と非線形
第4週
システムの性質、抵抗の概念
第5週
体温ホメオスタシスの簡単なモデル
第6週
システムの性質、蓄積の概念
第7週
中空粘弾性要素、呼吸器システムのモデル
第8週
円筒系粘弾性要素、血管系のモデル
第9週
熱の蓄積と放散のシステム、体温調節系のシミュレーション
第10週
機械的システムにおける粘弾性要素、筋収縮のシミュレーション
第11週
様々な性質をもつ複合システムの解析
第12週
ステップ応答とパルス応答
第13週
過渡応答と時定数
第14週
伝達関数
第15週
伝達関数を用いた生体モデル
|
成績評価の方法 |
筆記試験
|
テキスト |
宮本嘉巳篇、サイバネチックステキスト、無料
|
参考書 |
岩瀬善彦・森本武利、やさしい生理学、南江堂、2400円(1994)
ほかに制御工学、電子回路の基礎的教科書
|
履修にあたっての留意点 |
本講義を理解するうえで生理学などの医学知識については
教官がその都度解説するので必ずしも必要ではない。むしろ、電子回路、
ラプラス変換、微分方程式などの確実な基礎知識が必要である。先行、
又は平行して制御工学を履修することが望ましい。生体系であっても
いわゆる暗記科目ではなく、安易な気持での単位取得は困難である。
|