授業概要 |
生命の本質を物質進化の立場から解説する。宇宙の生成から説き起こし、
素粒子から原子、元素の誕生、太陽系の成立、原始地球における生命の発生を
化学進化の視点からまず概観する。次ぎに、生命現象を分子間の相互作用として
理解するために、生体高分子と細胞の成立機序、生命を支えるエネルギー発生機構、
核酸系による遺伝情報伝達のメカニズムなどについてウイルスを含む種々の生物を
例にとって解説する。最後に、遺伝子の人為的操作、細胞融合などの
バイオテクノロジー、遺伝子治療についても言及する。
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授業計画 |
第1週
生物と情報、物質進化と化学進化の概念
第2週
細胞系の成立、生体膜と能動輸送
第3週
生命を支えるエネルギー生成システムの種々
第4週
動物のエネルギー生成機構
第5週
メンデルの法則と遺伝子
第6週
核酸と染色体の構造、細胞分裂
第7週
塩基による遺伝子のコーデイング、DNA情報の伝令RNAへの伝達
第8週
アミノ酸と蛋白質合成
第9週
転移RNAとリボソーム
第10週
遺伝子情報発現の制御機構
第11週
真核細胞と原核細胞の遺伝子配列
第12週
ウイルスの遺伝情報
第13週
遺伝子の突然変異と進化
第14週
遺伝子の人工操作
第15週
バイオテクノロジー
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成績評価の方法 |
筆記試験
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テキスト |
宮本嘉巳篇、生体基礎テキスト(分子生物学概論)、無料
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参考書 |
中村運著、基礎生物学(改訂版)--分子と細胞レベルから見た生命像--、
培風館、1800円(1995)
山本幸夫篇、生物科学の基礎、学術図書、2000円(1995)
円山工作著、新しい生物学(改訂版)、培風館、1350円(1995)
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履修にあたっての留意点 |
講義は担当教官篇のテキストに従って行う。
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授業の目標・ねらい |
20世紀後半は18世紀に端を発した様々な近代科学技術がほぼ頂点に達した
時代である。しかし、科学の急激な進歩は公害問題に象徴される様々なひずみを
地球環境にもたらした。人類と地球の未来は、今後これらのひずみを克服できるか
否かにかかっているといっても過言ではない。21世紀における科学技術は何よりも
生命の尊重を基盤とするべきである。この意味で生命科学は、医学、生物学のみ
ならず理工学、社会科学のすべてにかかわりをもつ。この講義は工学技術者を志す
諸君に生命現象の基本を分子生物学の立場から解説する。
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