工学部

授業科目名:
倫理について(哲学)
(英語名): Problems of Ethics
対象学年:
全学年
開講学期:
前期
開講形態:
講義
担当教官: 石黒 満(ISHIGURO Mitsuru)
単位数:
対象学科:全学科 区分:教養教育科目・選択 591000

授業概要

見るからにいかめしい表題で逃げたくなるでしょう。「倫理」などと銘打って いますが、説教を垂れ流しするつもりは毛頭ありません。この講義の直接の目的は、 日々の生活のなかで誰もが行なっている善悪の判断を観察することです。ひとから 何かひどい仕打ちを受けて憤慨したり、反対に自分のほうが 「悪いことをしてしまった」 と悔やんだり、時には言い訳を一生懸命に考えたり、わたしたちは、いろいろ善悪 に関する判断をしながら生きています。ところが、このような判断の内容をよく 調べてみると、実に複雑にできていることがわかるでしょう。この講義は、倫理の 複雑さを指摘し、最後まで「複雑だなあ」とつぶやいて終ります。善悪の問題を すっきりと整理してくれるような理論のだぐいは何一つ示しません。善悪の判断に 関して、わたしは理論などといったものを信用していません。結局のところ、 個々の人間の生き方の問題なのです。「ひどい講義だ」と怒らないでください。 少なくとも、倫理に敏感になるという効果はあるのではないかと期待しています。 これがこの講義の間接的な目的です。

授業計画

      (1)倫理の文化相対論
第1週       相対主義の時代?
第2週       普遍的なもの
      (2)功利主義の倫理
第3週       功利主義原理
第4週       難問集
      (3)社会模範のゲーム理論
第5〜6週     利害の調整
第7〜9週     利他主義の3つの起源
第10週      雑談〜戦後民主主義について
      (4)社会規範の複雑さ
第11週      ディレンマ
第12週      社会規範の限界
      (5)倫理的自己同一性
第13週      言い訳の手法
第14週      ひとりの「わたし」であること
      (6)要約すると
第15週      この世を渡る法

成績評価の方法

出席状況と期末試験で行ないます。

テキスト

ありません。授業中に資料を配布します。

参考書

ありません。

履修にあたっての留意点

それなりの常識さえあれば、この授業を理解するために特別の知識は要りませんが、 ひとつだけ注文しておきます。 面倒な話でも少しくらいは我慢して付き合ってください。

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