工学部

授業科目名:
生体と化学(化学P)
(英語名): Biological Chemistry
対象学年:
全学年
開講学期:
前期
開講形態:
講義
担当教官: 西田 雄三 (NISHIDA Yuzo)
単位数:
対象学科:全学科 区分:教養教育科目・選択 591050

授業概要

 この地球上で生命活動を営んでいる生命体において、 金属イオンが非常に重要な作用を行っていることはすでに御承知のこととおもう。 例えば我々は呼吸現象をとおして酸素分子を肺まで送り込んでいる。 ただし酸素分子は水にはほとんど溶けないので、このままではからだの 隅々までは運ばれない。それを運ぶために鉄イオンを含むヘモグロビンという 酵素が存在し、そこでは酸素分子が鉄イオンと結合して、運搬されていく。 また、われわれの日常の生活において、食物を介して有害な化合物が 体内に取り込まれる。これを除去してくれるのも金属イオンを含む 酵素の作用による。
 このように生命体は、言葉では言い尽くせないほど金属イオンに恩恵を こうむっている。しかし、一方では金属イオンは人間にたいして 重要な害を及ぼすときも多い。たとえば、アルミニウムイオンと アルツハイマー病との関連性は現在ではもう疑う余地が無い。また、 脳における病気 ( 例えば筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン氏病等 ) には 鉄イオンが関与している事が明らかになっている。
 この講義では、生体中で金属イオンが非常に重要な機能を果たしていることを 認識してもらうと同時に、このような生命現象はすべて化学的表現で 説明ができると言う事も認識して欲しい。すなわち、生命現象は 化学現象であり、化学の法則にしたがっていると言うことを 厳然たる事実として受け止めてもらいたいと思っております。 そしてこのような事実をもとに、今後人間の福祉の向上を考える上で 化学の重要性を認識していただきたいと思っております。

授業計画

 

成績評価の方法

2 度ほど、試験をする。

テキスト

「無機生体化学」 ( 西田 雄三 著 : 裳華房 )

参考書

学生へのメッセージ等

 生体における金属イオンの重要性と、その恐さを知っていただき、 それにもとづいてこれからの人類の福祉の向上をいかにして行っていくかに ついて考えていただきます。

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