工学部

授業科目名:
伝説・説話の形成と伝承・伝播1(文学)
(英語名): Literature
対象学年:
全学年
開講学期:
前期
開講形態:
講義
担当教官: 阿部 八郎 (ABE Hachiroo)
単位数:
対象学科:全学科 区分:教養教育科目・選択 591070

授業概要

 ある地域で起こった(その地域以外にはない)「独自の事件」の大部分が、 人々によって「事実」として語られていくうちに、いつの間にか、他にも聞いた ことがあるような似た「ハナシ」に変容していきます。どうしてでしょうか。 江戸時代に発生した一つの「ハナシ」を素材にして考えていきます。
 書かれた資料(文献資料・江戸時代から現代まで)、また人々の語り (口承資料・現代)を通して、断片的な一つ一つのハナシ(話題)が、次第に成長し、 変容していく過程をみながら、人々がどのようにして「ハナシ」を理解し、 それをどのように伝えてきたかを、伝承・伝播という角度から考えていきます。

授業計画

 授業の内容は、だいたい次のようになります。
1 江戸時代後期成立の写本の翻刻(筆の文字を現在の文字に換えたもの)を読み、
  内容を把握します。
2 内容が歴史的事実として存在したか、地名・人名などを含めて検討します。
3 そのために、この写本以外にも同じ事件が記録されている資料を探します。
  江戸時代から現代までの資料が対象になります。しだいに分かってきますが、
  時代が下るに従って、「事実譚(事実あった話)」としての語りが、次第に誇張
  されたり、変更されて、場合によっては「昔話」になる場合もあります。
4 現在までの口承資料を検討します。事実譚として語る人、昔話として語る人など
  さまざまです。
5 テキスト刊行後、新たに見つかった資料をも見ていきます。
  これら諸資料には、言葉の持つ不思議、語り継ぐ人間の表現力の豊かさを
  見ることが出来ます。

成績評価の方法

授業中における質疑応答、またリポートおよびテストによる理解度で評価します。

テキスト

『百子沢おはな恨報実録』 (武蔵野書院刊)

参考書

Post Script 版
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