基礎から考える法学(法学)
Fundamentals of Jurisprudence (Jurisprudence)

担当教官: 沢田 裕治(SAWADA Yuji)

開講学年 全学年
開講学期 通年
単位数 4単位
開講形態 講義
教官の所属: 人文学部総合政策科学科
授業概要
 本講義は、初めて法の世界に接する学生諸君に法学を基礎から分かりやすく手ほど きする。在来の学問や権威を鵜呑みにして記憶するのではなく、受講生一人ひとりが 自分の頭で社会現象としての法現象について「基礎から考え」、法の基礎的・体系的 理解を通して、これからの社会人に必須とされる社会科学的思考方法や判断力を身に つける手助けを試みたい。
 法学は、経済学の流通・生産・分配に対応する私法か ら始まり刑法・公法に至る体系が原則として一応展開できる。そしてこの点こそ法学 が、文学などとは異なって、社会科学として成立する根拠・理由である。このように 法学は体系的な学問であり、原理的な基礎構造を有しているが、その歴史的・具体的 な在り様は、資本主義の世界史的発展段階と各国の歴史的現実如何に依拠し、文化の 固有法則性に即して多様であり得る。
 本講義では、法学がこのように体系的な学 問であることを念頭に置いて、憲法、刑法、民法等各法の概要とその基本原理を把握 することを主眼に置き、特にその基礎構造の理解に当たって次の点に留意して進めた い。(1)法を抽象的にではなく、日常生活の身近な法律問題を通して具体的に理解 する。(2)法学を孤立した体系としてではなく、他の社会科学と関連させて理解す るように努め、法現象を社会現象のひとつとして捉える立場から、法を生きた社会の 関連の中で、とりわけ現代社会に生きる我々諸個人を取り巻く社会経済制度との関連 で明らかにする。(3)「近代の意味」と「近代法とは何か」の歴史的理解を探究す る中で、市民法の原理的構造ならびに社会法におけるその原型からの偏差の構造の理 論的な解明に努める。(4)「与えられたいくつかの条件のもとで最も妥当な判断を 下すという法学習者の通常備える能力」を養い、論理的・社会科学的思考方法に習熟 するようにする。

授業計画
 上記の授業概要で示した内容について、前期は、主として憲法、刑法など公法を中 心とした講義をもとに、数回リポートを提出していただき、後期は民法の家族法と財 産法(私的所有と契約の法)を中心に進めていく予定である。

成績評価の方法
 成績評価は、(1)1年間の授業への取り組み(2)リポート(3)学年末試験の3つを総合 して行う。

テキスト
 開講時に指示する。

参考書
 授業中に適宜紹介する。

その他
履修にあたっての留意点
 通年の授業科目であることにくれぐれも留意すること。
 毎回の授業には必ず「六法」を持参すること。

学生へのメッセージ等
 数回のリポート提出はハードである。
 真に学ぶ意欲をもつ学生諸君の受講を期待したい。
 Remember─if you can dream it, you can do it.

担当教官の専門分野
 西洋法制史

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