授業概要
現代社会は複雑であるが、とりわけ経済現象はそうである。いきなり新聞を読んで
も、続きものの小説を途中から読むようなもので、なかなか全体の筋が見えてこない
。そんな現代の経済を理解するためには、やはり何らかの手がかりが必要である。
授業ではそのために、独占、株式会社、金融、社会保険、財政など多様な側面から
、現代経済について考える手がかりを明らかにしたい。抽象理論的な説明は最小限に
し、身近な問題を取り上げたり、アップ・ツー・デイトな時事問題を紹介することを
通じて、現代経済の具体的なイメージを提示できればと考えている。
授業計画
1.独占と競争
現代経済で支配的な経済力を持つ大企業の市場支配のメカニズムを明らかにし、
現代日本の独占禁止法の 運用をめぐる経済問題について考える。
2.株式会社と株式市場
株式会社の仕組みと株価の法則について簡単に説明し、株価をめぐるバブルの発
生など、日本の株式市場 の問題を明らかにする。
3.金融の仕組み
信用制度と銀行の役割について解説し、金融機関の破綻問題や金融ビッグバンに
ついて明らかにする。
4.社会保険と年金
健康保険、年金など社会保険の仕組みを明らかにするとともに、我が国の年金制
度が抱えている経済問題 について考える。
5.財政赤字と租税負担
現代財政の役割について説明し、現代日本の財政構造改革や、税制のあり方をめ
ぐる諸問題を考える。
成績評価の方法
学期末(2月の中旬頃)の試験(出題は授業内容から)の成績で評価します。
参考書
伊東光晴『21世紀の世界と日本(岩波市民大学 人間の歴史を考える 第15巻)』
(岩波書店、1995年、2,100円)
その他
履修にあたっての留意点
この「現代の経済」は、前期開講の「生活のなかの経済学」の続編でもあります。
ただ、取り上げる対象が現在経済の具体的な問題になっている点が、経済一般の基本
的問題を中心に取り上げた「生活のなかの経済学」とは異なっています。
学生へのメッセージ等
現代の社会や人間についての、知的で面白い本を幅広く紹介したいと思います。独
学に活用してください。 また、電子メールでの質問や意見を歓迎します。宛先は
tate@human.kj.yamagta-u.ac.jp
担当教官の専門分野
経済学、日本経済論。
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