授業概要
経済学と聞くと、「大切そうな分野だけれど、堅苦しくて取っつきにくそう」と考
えている人が多いのではないでしょうか。この講義はそんな人に経済学の面白さを知
ってもらうために準備しました。身近な話題やエピソードを取り上げながら、経済学
の基本的・理論的な問題を考える手がかりについてお話ししたいと思います。
扱っている問題は、食生活、貨幣、資本、所得などの経済学の基本的な事柄には違
いありませんが、それを体系的に授業するのではなく、問題のポイントをいっしょに
考えて行くような授業にしたいと思います。経済学入門というより、入門前の経済学
という気持ちで受講して下さい。
授業計画
1.食文化の経済学(食習慣の問題を例に文化・宗教と風土や経済の関係を考えます
)
(1)昆虫を食べる地域と嫌う地域。 (2)ヒンズー教と牛。 (3) イスラム教と
豚。
2.おカネの経済学(貨幣に関することわざやエピソードを中心に貨幣の歴史や役割
について考えます。)
(1)ポンド記号とドル記号。 (2)雄弁は銀、沈黙は金。 (3)悪貨は良貨を駆
逐する。
3.時間の経済学(「時はカネなり」という標語の示す意味を検討することによって
資本主義社会の歴史や 特徴を明らかにし、現代の私たちの生活時間のあり方につ
いて考えます。)
(1)神様の時間と高利貸。 (2)「時はカネなり」と資本主義の精神。 (3)日
本人の生活時間
4.人口の経済学(人口の問題を人類史の観点から考え、さらに現代の人口問題につ
いて検討します。)
(1)人口と食料。 (2)資本主義の人口問題。 (3)現代の人口問題
5.生産と消費の経済学(現代社会の生産と消費の相互関係を検討するとともに、生
活の豊かさとは何かと いう問題についても考えたいと思います。)
(1)国民所得と生活水準。 (2)生活水準の国際比較。 (3)生活者優先社会と
は何か。
成績評価の方法
学期末(9月の中旬頃)の試験(出題は授業内容から)の成績で評価します。
参考書
とりあえず、マーヴイン・ハリス著『食と文化の謎』(岩波同時代ライブラリー、1994年
、1200円)と三上隆三『経済学事始』(東洋経済新報社、1982年、1800円)をあげて
おきましょう。
その他
履修にあたっての留意点
みなさんの授業に関する感想や意見を授業内容に反映していきたいと思っています
ので、積極的に授業に参加してください。
学生へのメッセージ等
授業中に手軽に読めておもしろい本を(必ずしも講義の参考文献というのではなく
、視野を広めるのに役立つものを)幅広く紹介していきたいと思います。
また、電子メールでの質問や意見を歓迎します。宛先は
tate@human.kj.yamagta-u.ac.jp
担当教官の専門分野
経済学、日本経済論
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