授業概要
教養としての日本国憲法はいわゆる憲法概論であり、ここでは、憲法学がとりあげ
るべき全ての領域をカバーしたり、判例をもって具体的に検討したりすることには及
ばない。広く憲法というものについての思考を獲得すること、そして何よりも、憲法
を学ぶことを通して現代日本社会を見る一つの視点を得ることを目標とする。
現憲法が施行されてから50年を経て、それは理想主義的な平和憲法と呼ばれたり
、「押しつけられた」憲法といわれたりしながらも、国民の間に定着してきた。
戦後日本の歩みを枠づけてきた冷戦体制が崩壊してから、日本はあらゆる領域で混
乱の渦中にある。日米安保をふくむ日本国憲法体制にたいしても新たな注目が加えら
れつつある。こうした今日の状況にどう対応するかは単なる現実の変化への対応をこ
えた根元的な意味をもつことである。それは明治以来の日本の近代化をどう評価する
のかという視点から、敗戦後日本の歩みを再検討するということであり、そのなかに
日本国憲法を位置づけてみることが必要とされてくるであろう。
本講義は、近代を開いたといえる憲法の考え方を基軸としながら、日本国憲法の
問題状況の考察を行う。
授業計画
1 現代における国民の憲法意識
2 戦後50年と日本国憲法の歩み
3 憲法とは 近代立憲主義の意味
4 近代憲法の原理
5 日本の近代化と明治憲法
6 日本国憲法成立史
7 日本国憲法の基本原理
成績評価の方法
論述試験による
テキスト
なし
参考書
授業において紹介する
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