機構学
 Kinematics of Machinary
 担当教員:渡邉 克巳(WATANABE Katsumi)
 担当教員の所属:工学部機械システム工学科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科(Aコース)  科目区分:専門科目・選択必修(設計工学システム),選択(構造力性工学,エネルギーシステム工学) 
【授業概要】
・テーマ
新しい機構の開発は,既存の機構にとらわれず,機構の自由度の公式に基づき,節の数と形状および対偶の種類と配置を工夫して機構の構造を独自に提案することが肝要です。本講義では,剛体の位置決定変数と自由度,対偶(軸受)の種類と自由度,機構の自由度の公式を確実に学習し,数の総合および機構の交替の観点から各種の平面および空間機構の構造と構成部品の運動を理解します。さらに,社会生活に密着した機構であるスライダ・クランク機構(ピストン・クランク機構),平面4節リンク機構,ねじ機構などで機構の運動解析の手法を学習します。
・ねらい
運動機構の解析と設計の手法を学習し,機械設計一般において必要となる想像力,構想・着想力等を養成します。
・目標
機械や装置の基礎事項である,対偶の種類,運動機構の構成,機構の自由度,力の伝達等に関する概念を修得すること。偏心円板カム機構,スライダ・クランク機構および平面4節リンク機構の構成部品の相対運動が解析できること。パンタグラフジャッキの運動と力学に関する学習で機構設計の力を身に付けること。
・キーワード
静力学,機構の力学,設計法,機械設計

【授業計画】
・授業の方法
授業は,機械や装置の基礎事項とその適用に関する講義,およびそれらの理解を確実にし,実践力を訓練する機構の解析演習で構成します。演習レポートで学生の到達度をチェックして講義の進行を調整します。
・日程
第1週 「機械と機構」:機械の定義,機構の定義,機構の分類,節(リンク),対偶(軸受),運動学連鎖
第2週 「剛体の自由度」:並進変位,角変位,平面上および3次元空間内における剛体の自由度,対偶の構成
第3週 「対偶(軸受)の種類と自由度」:低次対偶の種類と自由度,主な高次対偶の種類と自由度,対偶の拡張
第4週 「機構の自由度」:空間機構の自由度,平面・球面機構の自由度,機構の自由度解析
第5,6週 「機構の構造シンセシス」:運動学連鎖と機構,数の総合,平面4節連鎖の種類,平面6節連鎖の種類,空間4節連鎖の種類,平面4節リンク機構,スライダ・クランク機構,機構の交替
第7週 中間試験または総合演習
第8週 「偏心円板カム機構の運動と力学」:カムと従動節の接触点の変動,入出力関係の算出式,圧力角
第9週 「スライダ・クランク機構の運動学解析」:入出力関係の算出式,速度・加速度の算出式,図式解析法
第10週 「平面4節リンク機構の運動学解析」:入出力関係の算出式,グラスホフの条件,伝達角,図式解析法
第11週 「瞬間中心とセントロード」:瞬間中心の求め方,ケネディの定理(3瞬間中心の定理),セントロードの例 
第12週 「瞬間中心を利用した速度解析」:スライダ・クランク機構および平面4節リンク機構の速度の図式解析
第13週 「くさび機構およびねじの機構」:くさび機構における力の伝達,ねじの機構の構造と自由度と力学
第14週 「パンタグラフジャッキの力学」:パンタグラフ機構の構造,パンタグラフジャッキの力学,機械効率
第15週 期末試験

【学習の方法】
・受講のあり方
講義における板書をノートに筆記すること。テキスト,プリント等を参照しながら講義の骨子をまとめること。理解が進まない点をチェックしておき質問すること。止むを得ず欠席した場合は,友達からノートを借りて補充すること。
・予習のあり方
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと。テキスト,プリント等を通読すること。
・復習のあり方
講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと。演習課題を行うこと。

【成績評価の方法】
・成績評価基準
授業内容に対する到達度を,中間試験または演習レポートの点数と学期末の試験の点数で評価します。
・方法
中間試験または演習レポートの点数は40点,学期末の試験の点数は60点とし,それらの合計(100点)が60点以上を合格とします。

【テキスト】
渡辺克巳,森田信義,西岡雅夫,大岩孝彰,武田行生,杉本浩一著,JSME 「機構学」,日本機械学会(予定)

【参考書】
森田釣,機構学,実教出版

【科目の位置付け】
本講義は,CAD/CAMやロボティクスなど,機械や装置の構成部品の相対運動解析が必要な科目の学習をスムーズに展開するための,機構の運動と力学解析の実践力の向上を目指します。
学科の学習教育目標の(J) システム設計工学分野の修得に対応する科目です。

【その他】
・学生へのメッセージ
機械運動学は,機械や装置の重要な構成要素である運動機構の種類,それらの構成と運動の特徴を修得し,機械基本法則を理解し,代表的例題で式の誘導,解析計算,特性曲線の作図等を実践することにより学力が付く科目です。努力無くして向上無し。
・履修に当たっての留意点
高等学校で学習した三角関数,2次方程式の解法,座標変換当は運動機構を幾何学的にモデル化し,解析することの基礎です。これまでの勉強が大いに役立ちます。電卓を使用した数値計算,解曲線・運動経路の作図などを適宜行うので,電卓,方眼紙,定規等を準備すること。
・オフィス・アワー
6号棟6-409号室 毎週金曜日16時〜17時
・担当教員の専門分野
運動学,機構設計,リンクおよびカム機構,等速継手,CAD/CAM,機構の運動・力学シミュレーション

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