【授業概要】
・テーマ
これまで習得した機械工学の知識を基に,「ものづくり」として,機械装置を設計して製作図を完成させる。
・ねらい
機械工学の総合演習として手巻きウインチの設計及び製図を行う。巻胴,歯車,ブレーキ,軸などの各種部品の設計計算を行いながら,材料力学,JIS 規格,工業材料などに関する知識の利用法を習得する。そして許容応力を基準とした強度設計,および操作性と安全性を考慮したバランスの良い人間工学的設計に基づいた製作図面の完成をめざす。
・目標
(1)与えられた課題に対して,これまで学んだ様々な教科を総合的に用いて,自分独自の方針で設計と製図を期限内に完成させること(学習・教育目標K,L)。
(2)特に,基礎製図,工業材料,材料力学,機械要素,機械加工学の教科の知識およびJIS規格などを自由に駆使できるようになること(学習・教育目標G,K)。
(3)図面を読みとる力と,バランスのとれた使いやすい機械装置を設計する能力をを身につけることも目標とする(学習・教育目標D,K)。
・キーワード
基本キーワード:設計法,製図法と規則,加工法
個別キーワード:産業機器/装置
【授業計画】
・授業の方法
最初に要点について講義し,与えられた課題に対して各自の設計方針や計画に基づいて演習(設計と製図)を行う。 ・日程
第1週 強度設計法について概説,基準強さ,安全率,許容応力,標準数など
第2週 基本設計,機構の選定(巻上げ機構,制動装置,軸・軸受),
はめあいの種類と等級(すきまばめ,中間ばめ,しまりばめ)
JIS及び機械工学便覧の見方,応力と荷重の種類,摩擦係数,機械効率,
機械要素(歯車モジュール標準値,ねじ,ボルト等),
機械材料(鉄鋼および非鉄金属材料)
第3〜4週 細部設計その1(ワイヤロープ,巻き胴,減速比,歯車)
第5〜6週 細部設計その2(つめ車装置,ブレーキ装置,軸・軸受)
第7週 細部設計その3(歯車リム・アーム・ボス部、フレーム),設計書完成
第8〜11週 製図法と規則について概説
製図その1,組立図(正面図,側面図)
第12〜14週 製図その2,部品図(巻き胴,控えボルト,巻き胴軸,中間軸,ハンドル軸,
ハンドルアーム,A・B・C歯車)
製図その3,部品図(ブッシュ,軸受,つめ・つめ軸,ブラケット,D歯車,
ブレーキ,フレーム)
第15週 設計書と図面のチェックを受ける
【学習の方法】
・受講のあり方
提出期限に間に合わなくなるので,遅刻や欠席をしないこと。計画的に作業を進めること。毎回出席を取ります。 ・予習のあり方
設計や製図を時間内に完成させるためには,テキストをあらかじめ良く読み,設計手法や製図法を確認しておくことが重要である。 ・復習のあり方
引張,曲げ,ねじりおよびせん断等の外力に対する強度計算の手法について,そのつど復習して良く理解しておくことが,設計をスムーズに進めるためのポイントとなる。
【成績評価の方法】
・成績評価基準
課題に対して最適な設計がなされているか,図面が JIS「製図総則」や「機械製図」に従っているか,尺度・バランス・レイアウトの適切さ,線の使用法と鮮明さ,また提出期限を守っているかなどについてチェックし,総合的に評価する。100点満点中60点以上を合格とする。
評価内容として,設計法に関する項目40%,製図法と規則,加工法等に関する項目40%,設計および製図全体をバランス良く遂行しているかに関する項目20%とする。 ・方法
設計書,提出図面の結果,提出状況を総合して成績を評価する。
【テキスト】
機械設計研究会編,「手巻きウインチの設計 第2版」,理工学社(¥1,900)
【参考書】
大西 清,「基礎製図 第2版」,理工学社(¥1,900)
【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習教育目標のうち,(D)「創造的,自主的行動力およびコミュニケーション能力」(0.2),(G)「機械工学の基礎力」(0.3),(K)「開発・設計および生産の技術」(0.3),(L)「実験・シミュレーションの計画・遂行力」(0.2)を養成する科目である。括弧内の数値は重みを示す。
【その他】
・学生へのメッセージ
真面目に取り組めば,授業時間内に完成することもできる。遅刻や欠席をしないこと。 ・履修に当たっての留意点
設計製図では,工業材料,材料力学,機械要素,機械工作法,基礎製図などで学んだ基礎知識を必要とするので,十分復習しておくこと。「基礎製図」のテキストも必ず持参すること。 ・オフィス・アワー
篠田昌久:金曜日16:00-17:00,6-515研究室。
吉田健吾:火曜日10:00-12:00,6-228研究室。 ・担当教員の専門分野
篠田昌久:流体力学,燃焼学。
吉田健吾:塑性力学,塑性加工。
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