【授業概要】
・テーマ
テキストとして選定した哲学的著作を精密に読解することにより、単に大掴みに内容を把握するだけでなく、個々の議論とその論拠を多面的に吟味しながら、細部の論理展開を精密に読み解く技術を習得する。これにより、哲学的諸問題の理解を深めると同時に、自ら哲学的に思考するための基礎訓練を行う。近代ヨーロッパ哲学の思想的源泉を検討し、その傾向が現代人の思考にどの程度まで影響を及ぼしているのかを探る。また、近代ヨーロッパ哲学への多方面からの批判をも検討し、その問題点を理解する。
・到達目標
西洋哲学史上の重要な思想家の考え方やキーワードを理解できるようになる。難解と言われる哲学書を読解する力がつく。言葉にすることの難しい事柄を言葉にする力が付く。
・キーワード
哲学、倫理学、西洋哲学、批判的思考
【科目の位置付け】
本授業は地域教育文化学部地域教育文化学科異文化交流コースのカリキュラムにおいて「専門科目」のうちの選択科目の一つとして位置づけられる。ディプロマ・ポリシーのうち、総合的に判断する能力を展開させる点に、特に関与する。 中学校(社会)および高等学校(公民)教諭免許状取得のための選択科目。
【授業計画】
・授業の方法
近代ヨーロッパ哲学の源流を理解するために、今年度はデカルトの『省察』をテキストとして取り上げ、熟読・精読する予定である。最初にテキストの思想的背景、その影響などについて簡単に解説を加える。次いで、各受講者が輪番で読解と発表を担当し、その内容を全員で検討し討議し、教員が適宜解説を加える。途中、現代までの哲学史上におけるデカルト批判について、担当者の小レポート・発表、ならびに共同討議を行い、近代哲学の方向性に関して多角的な見方を形成する。哲学的な問いの立て方、議論展開の仕方などについても適宜訓練していく。なお、受講者の要望や具体的進展等に応じて、検討テキスト等の追加・変更もあり得る。
・日程
授業計画 第1回:導入:哲学的なテキストの読解法について。デカルト『省察』の背景的説明。発表担当者の決定 第2回:「第一省察」の読解1:懐疑の方法とその徹底化。担当者による発表と討議。要点の解説1 第3回:「第一省察」の読解2:懐疑の意図と効果。真理論と認識論。担当者による発表と討議。要点の解説2 第4回:「第二省察」の読解1:「私はある」「私は考える」と確実性の問題。担当者による発表と討議。要点の解説3 第5回:「第二省察」の読解2:感覚と知解。蜜蝋の例。担当者による発表と討議。要点の解説4 第6回:「第三省察」の読解1:思考の根拠と神。担当者による発表と討議。要点の解説5 第7回:「第三省察」の読解2:無限なるものの観念と完全性。担当者による発表と討議。要点の解説6 第8回:中間レポート 受講者による小発表会とシンポジウム 第9回:「第四省察」の読解1:真理と誤謬。担当者による発表と討議。要点の解説7 第10回:「第四省察」の読解2:意志の問題と真理論。担当者による発表と討議。要点の解説8 第11回:「第五省察」の読解1:生得観念と神の存在証明。担当者による発表と討議。要点の解説9 第12回:「第五省察」の読解2:確実性の問題、明証の原理。担当者による発表と討議。要点の解説10 第13回:「第六省察」の読解1:物質的事物の存在。想像と悟性。担当者による発表と討議。要点の解説11 第14回:「第六省察」の読解2:精神と信頼。感覚の信頼性。担当者による発表と討議。要点の解説12 第15回:最終レポート 受講者による小発表会とシンポジウム、教員による総説・補足的解説
【学習の方法】
・受講のあり方
自ら発言し、また質問することを心がける。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストを何度も読んで予習してくる。
【成績の評価】
・基準
以下の観点に則り、発表内容、レポート、討議での発言内容等を中心に、総合的に判断し評価する:哲学的テキストを正確に読解し、その哲学的含意を理解することができるか。理解した内容を適切に要約できるか。理解した内容を適切に敷衍し、自分の言葉噛み砕いて説明することができるか。哲学的思考の表現方法に親しみ、レポートに学習成果を反映できるか。発表の仕方、批判的討議の方法を身につけたかどうか。
・方法
発表(40%)、レポート(40%)を基本として、その他の要素(20%)も加味し総合的に評価する。
【テキスト・参考書】
テキスト デカルト『省察/情念論』井上庄七,森啓訳,中公クラシックス, 中央公論新社,2002. デカルト『省察』山田弘明訳,ちくま学芸文庫,筑摩書房,2006.
【その他】
・オフィス・アワー
講義で連絡します。
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