【授業概要】
・テーマ
統計力学の概念や重要な法則の理解
・ねらい
全系を弱く相互作用する部分系に分けて考え,全エネルギー,全粒子数などの保存する量を指定した条件下で,最も実現する確率の高い状態を求めます.この処方で統計力学的温度や化学ポテンシャルなどが導入されます.いろいろな量を扱いますが,系の取り得るすべての状態に関するボルツマン因子の和として分配関数とよばれる重要な量を中心的に調べます.分配関数をなかだちにして,熱力学と統計力学の関係を学びます.
簡単な模型に関し,系のエネルギー関数(ハミルトニアン)を用いて分配関数を計算し,ヘルムホルツの自由エネルギーなどの熱力学関数の具体形を求めます.
次に量子論的描像に基づく統計の内容を調べます.まず,量子力学で基本的な,(ア)正準力学量が不確定性関係を満たすこと,(イ)同種の粒子が識別不可能であること,の二つを前提にして,最も実現する確率の高い状態を求めます.(ア)の前提は相空間のセルの基本サイズを決め,与えられた平衡状態の状態数を計算するとき重要になります.(イ)の前提は粒子を交換したときの対称性に反映します.
同種粒子の交換に対する対称性に応じ,ボーズ統計とフェルミ統計という二つの統計性を決定します.古典統計のときと同様,分配関数を中心に調べます.
・目標
統計力学の概念や重要な法則の理解
・キーワード
統計力学の概念、状態和、分布関数、量子統計
【授業計画】
・授業の方法
講義形式、毎回
小問題を課す、レーポートを課す ・日程
学生の反応や進度に応じて題材を調節することがあります.
1. 相空間 2. ボルツマン因子
3. 分配関数,統計力学温度 4. ボルツマン・ギブス統計
5. 分配関数の計算と応用(古典) 6. 熱力学と統計力学
7. 粒子交換を含む分配関数 8. 量子力学と統計力学
9. 平衡状態の状態数の計算 10. ボーズ統計とフェルミ統計
11. 量子統計の分配関数 12. 分配関数の計算と応用(量子)
【学習の方法】
・受講のあり方
授業中は出来るだけ考える努力をする ・予習のあり方
予習をしてくること ・復習のあり方
重要な事をもう一度勉強
レーポート課題をやってくること
【成績評価の方法】
・成績評価基準
基本を理解していたら可とする ・方法
小問題、レポート、試験で総合評価
【テキスト】
前期のテキストを続けて使います。
【参考書】
原島 鮮,“熱力学・統計力学”(培風館).
碓井 恒丸,“熱学・統計力学”(丸善).
市村 浩,“統計力学(改訂版)”(裳華房).
【科目の位置付け】
物理学の基礎科目として重要
【その他】
・学生へのメッセージ
しっかり勉強してください。
そのための支援は惜しみません ・オフィス・アワー
特に設定しないが、いつでも可
土曜日にも理解の遅い学生に開講 ・担当教員の専門分野
半導体物理学、低温物理学
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